STORY

灯台のある港町の古い一軒家に住む母娘の日常から物語が始まる。


母の昭子と二人、慎ましくも笑いの絶えない日々を過ごしていた武藤千夏は念願の芸大に合格し、とても忙しい毎日を送る事となった。
特に大学から出された創作小説の課題「初恋の思い出」の事で彼女は頭を悩ませていた。
千夏にとって初恋とは幼なじみの光輝の事だ。


しかし・・・


中学生の頃、光輝から言われた一言が奇妙な”しこり“となり今でも彼女の胸に突き刺さっている。
千夏はそんな感情を課題小説にぶつける事で、その高鳴る“しこり”を昇華しようと必死で足掻いていた。


ある日の事。


母の昭子は千夏の部屋で一通のお知らせを見つけた。
それは娘が受けた乳がん検診の“再検査”に関わるお知らせだった。
娘の身を案じた昭子は本人以上にネガティブになっていく。
それとは裏腹に再検査に訪れた病院でも何故か気の乗らない様子の千夏。
娘の些細な変化に母は戸惑いを隠せない。
その返事はどこか他人事のように聞こえてしまう娘。
そしてそんな最中に訪れた2人の日常のちょっとした変化。


するといつの間にか・・・
胸のしこりが熱を持って小さな高鳴りに変わっていくのを千夏は感じた。
けれど、その小さな胸の高鳴りは、いつしか“胸さわぎ“になっていくのだった・・・